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Xmas cake |
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「メリークリスマス」 緑間の目の前に突然現れた青峰は、そう言って手に提げていたケーキの箱を持ち上げた。 「何の真似なのだよ」 帰り道を待ち伏せされるのは、これで何度目だろうかと緑間は思う。 「クリスマスケーキを買わされたから、食べろ」 「オマエが食べればいいだろう」 「甘いのそこまで得意じゃねえんだよ。捨てんの、もったいねえだろうが。協力しろよ」 「・・・仕方のないヤツなのだよ」 緑間の溜息ひとつで、青峰は少しだけ嬉しそうに笑った。 *** 青峰の部屋で21センチのケーキを前に並んで座っている図というのは、あまりというか、決して美しい光景ではない。 それでも、途中で買った烏龍茶をグラスに注いで、包丁でケーキを切れば、それなりに気分も上がる。 「しかし、二人で食べるには大きすぎるのだよ」 「まあ、なんとかなるだろ」 大雑把に二等分されると思えば、律儀に六等分され、ショートケーキの形で渡される。 メリークリスマスと書かれたチョコレートのプレートまでイチゴと一緒に乗ったままだ。 「なんだよ」 目の前のケーキに驚きを隠さずにいると、それに気付いた青峰が不満そうな声を上げる。 「いや、なんでもないのだよ」 緑間はいつものクセでそっと両手を合わせてからケーキを食べた。 白いクリームにイチゴがバランスよく配置され、サンタと家とクリスマスツリーが並ぶ、典型的なクリスマスケーキだったが、甘さは控えめで、スポンジはふわふわと口の中でとろけた。 「緑間」 しばらく黙々とケーキを食べていると、青峰が不意に名前を呼んだ。 緑間が顔を上げると唇の端をべろりと舐められる。 「な、・・・っ?!」 「クリームついてたぜ?」 「舐める必要はないのだよ」 べしっと思い切り良く青峰の額を叩いて、手の甲で舐められた部分を拭き取った。 「あ、ひでぇ」 「酷くない」 顔を近付けたまま、青峰があからさまに何かを企んでるような笑みを浮かべるので、緑間は嫌な予感しかしなかった。 「生クリームプレイとかさ、興味ねえの?」 「オマエとならお断りなのだよ」 「ケーキ、うまかっただろ?」 「それとこれとは、話が別だ」 「ちょっとくらい、付き合えよ」 「嫌なのだよ」 「ほら」 指先で生クリームをすくって、緑間の口元に差し出してくる。 どうやら、そのまま舐めろとのことらしい。 「バカか」 ぷいっと顔を逸らしたら、今度は耳朶に噛み付かれる。 「ひっ」 思わず上擦った声が零れた。 「俺に舐められるのとお前が舐めるのとどっちがいい?」 「ふざけるな」 青峰から逃れようと伸ばした腕は手首をつかまれて、難なく抑えられる。 再び耳をかじられて、緑間は観念したように青峰の人差し指についたクリームをそっと舐めた。 舐めづらいのか、出した舌先がちろちろと震えるのがあまりにも扇情的で、青峰はそのまま緑間の口の中に指を突っ込んだ。 「お前、エロすぎだろ」 指先についたクリームを緑間の舌に舐めさせて、ゆっくりと指を抜く。 触覚のするどい指先に触れる湿った舌は、そのまま腰へと直接響いた。 「なにを・・・」 「バカはお前だ、緑間」 青峰は緑間の両手首を掴み、そのまま唇を重ねた。 触れるだけのキスでは我慢できない。 無理矢理こじ開けた緑間の口内はケーキと同じ味がする。 逃げようとする舌を絡め取って、深く深く追い求めた。 お互いの唾液が混じり合い、離れた時にはどちらのものかわからなくなっていた。 「無傷で帰れると思ったのか?」 緑間の唇の端から零れた液体を青峰が親指で拭うと、視線が真っ直ぐに向いた。 「まさか。予想通りなのだよ」 呆れたように溜息を吐いて、緑間はごつんと青峰の額に自分の額を当てた。 「緑間・・・?」 「覚悟はとうにできている」 鼻先にちゅっとキスをされ、青峰は何度も瞬きを繰り返した。 「・・・いつからだよ」 「教えないのだよ」 そう言って笑う緑間がいつにも増して楽しそうだったのを青峰は見逃さなかった。 「ぜってぇ、聞き出してやる」 「バカめ」 「後悔すんなよ」 「誰に言っている」 青峰は掴んだ両手を放すと、今度はちゃんとベッドの上に緑間を押し倒した。 「緑間」 ほんの少しだけ、お互いに緊張感が走る。 それを誤魔化すように、青峰は緑間の眼鏡をそっとはずして、テーブルの上に置く。 「好きだ」 返事を聞く前にその唇を塞ぐと緑間が目を閉じた。 期待していたわけではないけれど、それは甘いクリスマスプレゼントだった。 メリークリスマス☆ |
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2012/12/26 |
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※高校時代の付き合ってる設定の青緑です。 |
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