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黒緑 |
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告白をした。気持ちは届いていたはずだった。 返事も聞いた。嫌いじゃないと、特別だと、言われた。 (それは、恋愛感情じゃないでしょう?) 誰もいない図書室の片隅で、そっと口付けを交わす背徳感に背筋がぞくぞくと震える。 いま、自分はキスがしたいと伝えてそのまま緑間を押し倒した。 図書室の床は、たぶん、酷く冷たいだろう。 それでも、緑間は驚いた表情を見せたけれど、抵抗はしなかった。 (優しいだけだ) 与えられる好意を無下にできず、抗いもしない。 告白をしてから、何度も繰り返した。 手を繋ぐこと、抱き締めること、キスをすること。 緑間は、最初だけ照れを隠すように形ばかりの拒絶をするけれど、すぐに全てを許す。 (ボクに嫌われたところで、何の不利益もないというのに) むしろ、緑間に自分が嫌われる方が余程の恐怖だ。 黒子は自分の下に横たわる緑間を見つめて、それから、もう一度その唇を塞いだ。 体温などほとんど感じることのない部位であるはずなのに、熱があるかのように体温が上昇する。 (好きです) どうしようもなく、それは、溢れて零れて、流れていく。 感情と衝動。 眼鏡のレンズ越しに見える世界は、どんな風に映るのでしょう。 「黒子」 ふ、と、後頭部を優しく撫でられた。 突き放しもしないくせに、そうして、甘やかしてばかりいる。 「オレは、オマエが思っているよりも、オマエがちゃんと好きなのだよ」 不意打ちの告白に、黒子は全身が硬直した。 緑間の言葉をほとんど理解できずにその目を見つめ返すことしかできなかった。 「バカめ」 腕を掴まれ、引き寄せられて、緑間に近づいた瞬間、その頬に触れた柔らかい感触と熱。 「あれから、何ヶ月経っていると思っているんだ。オレもちゃんと考えているのだよ」 ぽかんとしていたのだろう。 溜息と苦笑が混じった表情で言われては、もう、どんな言いがかりもつけられない。 「緑間君、ズルいです」 「オマエがいつまで経っても納得しないからだ」 主導権を握っていたはずだったけれど、このままではきっと流されてしまう。 黒子は緑間の両手首を掴んで、床に押し付けて、何度目かのキスを奪った。 いつのまに、こんなにも同じ熱を感じていたのだろうか。 「緑間君」 耳元で名前を囁けば、それだけで伝わるものがあると信じて。 (好きです) 言葉は、口付けと共に飲み込んだ。 終わり |
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2014-04-15 23:35:02 |
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