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黄緑 |
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青々と若葉の茂る木々を見上げて、桜の季節が終わったことを実感する。 今年もまた、もうすぐ試合の日々が始まろうとしていた。 去年のインターハイ。 神奈川代表として出場できた。 東京に負けず劣らずの激戦区だけれど、キセキと呼ばれた選手のいる学校は海常だけだった。 東京は、違う。 3つもある。 インターハイに行けるのは2校のみ。 今の、緑間と対戦したら勝てるだろうかと、時々シミュレーションするけれど、答えは出ない。 ただ、対峙したときの緑間は、きっと、美しいのだろうとだけ、思う。 なにもしていなくても、こんなに見惚れてしまうのに。 「なんなのだよ」 隣りに立つ緑間を見過ぎてしまった。 横顔も鼻筋も輪郭も。 会うたびにきれいだと思う。 「なにがっスか?」 緑間が眉間に皺を寄せているけれど、知らないふりをする。 毎日会えるわけじゃないのだから、会えたときくらいその顔をずっと見せてほしいと思う。 「やかましいのだよ」 「オレ、なにも話してないじゃないっスか!」 むしろ、静かにしていた方だ。 「視線が、うざい」 「ひどっ!少しくらいいいじゃないっスか!久しぶりに会えたんスから、緑間っちの顔見たいんスもん」 「……」 ますます嫌そうな表情へと変わっていく。 「きれいな顔なのにもったいないっスよ」 それでも、自分の一言一句で表情が変わるところが見られるのは、とても嬉しい。 黄瀬は、にこにこと笑って、緑間を自分の方へと引き寄せた。 「そんな顔してると、キスするっスよ」 してなくてもするけど。 緑間に反論する隙を与えずに、両頬を包むように抑えて唇を重ねた。 今は、こんなにも近い。 自分で選んだから後悔はしていない。 だからこそ。 試合で対峙してみたいと願わずには、いられなかった。 「黄瀬」 「ん?」 「きれいなのは、オマエのほうなのだよ」 緑間が妙に真剣な顔で言うので、黄瀬は首筋から耳の先まで一気に熱が上がったのを感じた。 (それは、卑怯……) たぶん、自分は、今、真っ赤になっているだろう。 「な、なんで、そんなこと、簡単に言うんスか!」 「簡単に言ったのは、オマエが先だろう?」 口元を緩めた緑間にちゅっと頬へとキスされた。 「……どこで覚えてくるんスか」 「オレはオマエしか知らないのだよ」 余裕を見せて笑う緑間に悔しさを覚えながら、それでも嬉しいと思うのだから、どうしようもない。 試合で対峙してみたいと思うけれど、ちゃんと切り替えることができるだろうか。 そんな不安が胸をよぎった。 「負けないっスよ」 「……何の勝負だ」 呆れる緑間を抱き締めて、黄瀬は笑った。 終わり *** 20140508 チュロたんハッピーバースデー☆ |
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2014/05/08 |
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