黄緑

 
  チュロスさんへの誕生日祝い☆  
     
 


「ねえねえ、緑間っち」

隣りに座る緑間の肩にそっと頭をのせて、黄瀬は目を閉じる。
温かな体温が心地好くて、側にいればいるほどくっつきたい。
それを許される場所にいることが、本当はそれだけで、嬉しい。
でも、それだけじゃ、寂しい。

「どうした?」

珍しくすぐに返事がきた。
珍しいというのは、緑間が本を読んでいる時は、黄瀬の声が聞こえていないことが多いからだ。
何度呼んでもうんともすんとも言わないことだってある。
そんな無反応な緑間の邪魔をする時もあれば、おとなしく待つ時もある。
緑間が自由であれば、黄瀬もまた、自由なのだ。

「オレね、緑間っちのこと、好きっスよ」

ぐりぐりと緑間の肩に頭を押し付ければ、返事のかわりに優しく頭を撫でられた。
いつだって、緑間は黄瀬を甘やかす。
言葉は少ないけれど、態度は比較的わかりやすい。
けれど、それだけでは物足りない時もある。

「ごまかされないっスよ?」
「ごまかしてないのだよ」
「本当に好きっス」
「嘘の好きがあるのか?」
「ないっ!」

顔を上げて、きっぱりと言い切ったら、緑間が小さく笑った。
緑間は、最近、よく笑うようになった。
常に無表情ではあるのだけれど、時々、口元をそっと緩める。
その笑い方が緑間らしくて、黄瀬は好きだった。

(わかってるんだ・・・)

本当はいちいち言う必要もないことだと。
最初からずっと好きなままだ。

「緑間っち」

名前を呼んで、見つめあって、それから、キスをする。
顔を近付けるだけで、目を閉じるから、それがかわいい。
いつのまに、キスされることに慣れてしまったの?

(オレのせいだけど)

唇を重ねて、頬にキスして、耳朶に噛み付いたら、くすぐったいと押しのけられる。

「好きっスよ」

緑間の手を握って、にっこり笑えば、照れたように目を逸らす。

「・・・オレも」
「も?」

答えはわかっているけれど、聞きたいときもある。
少し意地悪く問い詰めると、目を逸らしたまま囁くように言う。

「好きだ」

それが、何度も聞きたい。

(オレが好きってしつこく言うのは、好きって言って欲しいから・・・)

照れる緑間をぎゅうっと抱き締めて、もう一度繰り返す。

「緑間っちのこと、好きっスよ」

緑間が観念したように黄瀬を抱き返して、それから、黄瀬の頭を撫でる。
好きという返事のかわりに、緑間の指先は優しかった。



終わり



 
     
 

2013/05/08