黄緑

 
  カカオさんへのお誕生日祝い☆  
     
 


「ね?次はどこがいいっスか?」

黄瀬はいままでになくらいの良い笑顔で、緑間の首筋に噛みついた。
紅い痕がじんわりと滲んで広がる。
印を付けることを許されているのが、嬉しい。

「バカなことはやめるのだよ」

緑間が溜息を吐いて、目を閉じた。
両手を頭上で縛られ、身動きとれないようにされているにも関わらず、抵抗はしない。
諦めているのか、呆れているのか、黄瀬にはわからなかったが、おとなしくしている緑間がどうにも気に喰わなかった。
いっそ、罵声を上げて、暴れてくれたら、もっと優しくできたかもしれないとさえ思う。
シャツのボタンを引きちぎるように、勢いよく素肌を露わにすると、色白い肌を舐める。
鎖骨の形を辿るように舌先を動かせば、びくりと腰が揺れた。

「やーらしいっスね。誘ってんの?」

鎖骨の中心を強く吸い上げて、痕を残す。
そこを始点に、黄瀬は胸へ、腹部へと移動し、花びらを散らしたように痕をつけていく。
白い肌に浮いた紅い花びらを見下ろせば、酷く扇情的で、たまらなく誘われる。

「緑間っち」

呼べば、深緑色の視線がゆらりと黄瀬を捕えた。
きれいだなぁと、黄瀬は何度でも思う。
肌に吸い付くたびに堪え切れずに漏れる甘い吐息が、その目を潤ませていく。

「誘っているつもりはないのだよ」

表情のない顔でそんなことを言う。

(うそつき)

自分も酷い嘘を平気で吐くけれど、緑間ほどじゃないと黄瀬は思う。
真っ直ぐで真面目で正しい緑間の嘘は、いつだって本当になってしうまうから、厄介だ。
その唇を塞いで、嘘を飲み干して、かわりに自分だけの愛を詰め込んで。
絡めた舌が逃げないように、何度も何度も、吸って、舐めて、動かして。
くぐもった声と息が口の端から零れると同時に混ざり合った唾液が流れて落ちた。
それを舌先で舐めとって、そのまま下唇をなぞるように舐めて、満足そうに笑えば、緑間は再び目を閉じてしまう。

「緑間っち。アンタはオレのこと、好き?」

拘束をして、その身の上に乗り上げて、印をつけていく。
紅色から紫色へ変色していく痕は、けがらわしくてうつくしい。
白を変えていく背徳感にぞくぞくと快感を覚えれば、やめることなどできなかった。

「したいことをさせる程度には」
「……。オレ、愛されてるっスね」

嘘か本当か、わからない答えを笑い飛ばして、黄瀬は再び緑間の体中にキスをする。
湿らせた唇から、微かに甘い声が漏れるのを楽しみながら、下肢へと集まる熱を感じた。



終わり



 
     
 

2013/08/16