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わかりたいと思うこと |
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指先のテーピング。 揺らがない視線。 自分の信じる方だけを見つめていた。 思い出そうとすれば、そんな事ばかりだ。 黄瀬は、自分以外誰もいない体育館にいた。 一人で立つコートは思いのほか広く感じる。 両手でバスケットボールを持ち、センターラインから狙ってシュートを放つ。 足りないのは、正確なフォーム。 見ただけで、即座に自分のものにできる能力をもってしてでも、パワーやほんの少しの誤差で、センターラインからシュートを決めるのは難しい。 脳裏に浮かぶ正確で誤差の無いフォーム。 模倣をしているつもりでもつもりでしかない。 完璧にトレースする事はできないのだろうか。 黄瀬はリングに当たって跳ね返ってきたボールを拾い、もう一度センターラインからシュートを打った。 ボールは弧を描き、バックボードに当たって跳ね返って落ちていく。 シュートは入らない。 2点ではなく3点にこだわり続けていた。 それは、簡単ではないと知っている。 ドリブルをして、ゴール下まで持ち込んでからのシュート。 ディフェンスのいない今、それは容易い事だ。 練習を繰り返すことで、体が覚える。 角度、パワー、フォーム。 正確無比なシュートでコートの全ての位置でゴールを狙えるという。 (ハンパねぇッス) センターラインからですら入らないというのに。 もちろん、センターラインから入れる必要は無いのだけれど。 少し、知りたいと思ったのだ。 どんな気持ちでコートにいるのかを。 中学時代には欠片も思いつくことのなかった、思考。 天才ばかりのチームでは、自分に与えられたポジションを誰よりも上手く遂行することだけが全てだった。 相手が何を考えているかなど、不必要だった。 そう思うようにしていた。 (たった1ヶ月っスよ?) 会わなかった時間で、何があったかなんて、聞けるはずも無い。 知らなければ、調べればいい。 違うチームにいるからこそ、見えることも、わかることもある。 いつか対戦することだってあるだろう。 (わくわくする・・・) 口元に自然と笑みが浮かぶ。 黄瀬はフリースローラインからボールを放ち、シュートを入れた。 ボールの弾む音だけが、体育館に響いた。 終わり |
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2012/06/03 |
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初書き黄緑。 |
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