黄緑の日2013

 
     
 


1ヶ月に一度。多くて二度。
黄瀬の部屋で一緒に過ごす。
それは、二人暮らしの疑似体験。
これが、毎日続くのなら、もしかしたら、心臓がもたないかもしれないと、黄瀬は思う。
緑間への愛しさと幸せで、いつかきっと破裂する。

(そしたら、緑間っち泣いちゃうかな…)

泣かせるわけにはいかないと、そっと心臓のあるあたりを撫でてみた。


***


隣りに座っているだけなのに。
話すことなんて、なにもないのに。
幸せに押し潰されそうで、苦しい。

「オマエは、なぜ、そーゆー顔をするのだよ」

ふと、横を向けば緑間が呆れたような視線を向けている。

「そーゆー顔?」

両手で自分の頬を挟んでみるけれど、自分がどんな顔をしているのかなんて、わからない。
幸せそうに笑ってた?それとも、不安そうな暗い顔してた?
目の前に鏡があるわけじゃないから、確かめられない。

「そーゆー顔なのだよ」

緑間がちゅっとこめかみにキスをしてきた。

「ど、どーゆー顔っ!」

さすがにそれには驚いて、一気に顔が熱くなる。
不意打ちは卑怯だと、いつも思う。
思うけれど、それが嬉しいのだから、どうしようもない。
ことん、と、緑間が黄瀬の肩に頭を乗せた。

「……幸せなのは、オマエだけじゃないのだよ」
「しってるっスよ。緑間っち、オレのこと大好きっスよね」
「そこまでは言ってない」
「ちょっと、そこは、照れずにそうなのだよって、言ってくんないと」
「なぜだ」
「オレがよろこぶから」
「オマエを喜ばせて、何の得があるというのだよ」
「損得の問題じゃないっスよ」
「それもそうだな」
「オレは緑間っちのこと大好きっスよ?」
「知っているのだよ」
「だから、そこは、オレもなのだよって、言って欲しいんスけど?」
「オマエは面倒くさいな」
「緑間っちに言われたくないっス」

ぶーっと頬を膨らませてわかりやすく拗ねて見せれば、膨らんだ頬を指でつつかれて潰されてしまう。
ぶびっと鈍い音が漏れると、緑間が声もなく笑うのがわかった。

「なんなんスか」

緑間の方を向いて文句のひとつを言おうとしたけれど、真っ直ぐな両目に見詰められた。

「好きなのだよ」

撃沈。
黄瀬は耳まで真っ赤にして、抱えた膝に顔を埋めた。
緑間のタイミングはいつもテンポがずれている。
それにだいぶ慣らされてはきているけれど、こればかりは、油断も隙も関係なかった。

「黄瀬?」
「緑間っちのばーか。あほ。ひきょうもの」
「聞き捨てならんな。オマエが言えと言ったのだよ」
「そうだけど、そうじゃないんスよ」

ぶーぶーと文句を言えば、優しい手が頭を撫でてくるから、何も言えなくなる。
不意打ちが得意な卑怯者のくせに。

「黄瀬、ほら、顔をあげるのだよ」

耳元でそっと囁かれて、仕方なく顔を持ち上げれば、今度は頬にちゅっとキスをされた。

「みどりまっち…」
「機嫌は直ったか?」
「怒ったわけじゃないっスよ?」

やられっぱなしでいるわけにはいかない。
緑間の眼鏡をそっとはずして、そのまま口付けた。
先刻食べたケーキの甘さがまだ少し残っているような気がした。
かわいいキスも味わうような口付けも。
二人でいるからできる。

(毎日、こんなだったら、心臓、マジ、もたない)

溢れる好きをどうにかしないと。

「緑間っち」

口の端に零れた滴を舐め取って、頬に瞼にキスをする。

「オレも好き」

ぎゅうっと抱き締めたら、耳元で微かな笑い声が聞こえた。




溢れる愛しさと幸せを二人で分け合えば、心臓は破裂しないような、気がした。



Happy 黄緑 Day☆



終わり



 
     
 

2013/07/06

 
     
 

※7月6日は高校黄緑の日☆
今年も無事にお祝いできてよかったなと思うわけです。
黄緑は永遠に☆