短い話2

 
     
 


「緑間っちは、オレに言って欲しいこととかないんスか?」

待つことに飽きたのか、隣りに座っていた黄瀬が膝の上に乗り上げてくる。
読んでいた本を持ち上げれば、ころんっと寝転がって、そのまま緑間の膝を枕に目を閉じた。

「何か言いたいのか?」

本を閉じてサイドテーブルに置いて、緑間は黄瀬の頭を撫でる。

「ちがうっスよ。緑間っちが聞きたいことを言いたいんス」

先刻のお願いを思い出して、緑間はなるほどと、思う。

「オマエはいつもオレが言って欲しいことを先に言うのだよ。だから、いつもどおりでいい」

撫でている手首を掴まれ、手のひらにキスをされる。

「緑間っちだってオレが言って欲しいことを言ってくれるっスね」
「それでも、足りないのだろう?」
「わかってくれてるなら、それでいい」

わがままも想いもそこにあるなら。
緑間は、黄瀬の額にキスをした。



終わり



 
     
 

2013/08/12

 
     
 

※ワンシーンだけを抜き出すのが好きです。