短い話3

 
     
 


言葉に力があることを知っている。
頬に唇をおとせば、目を閉じる。
耳元で囁けば、くすぐったそうに肩をすくめる。

愛しいと言葉で伝えずともわかることもある。

「緑間っち」

膝枕からその腰に腕をまわしてぎゅうぎゅうに抱きしめた。

「どうした?」
「オレねぇ、ほんとにほんとに、好きなんスよ」

放したくないとか。
離れたくないとか。
一緒にいたいとか。

どこにも行かないで。
側にいて。


嫌わないで。


それを全部二文字に込めるから。
何度も繰り返す。

「黄瀬」

緑間が呼ぶ声に安心するのは、求められているからだと思う。

「大丈夫なのだよ」

緑間が言う。
呪文を唱えるように。



終わり



 
     
 

2013/08/12

 
     
 

※短い話3本でした。