黄色と緑色の気持ち

 
     
 


黄色の気持ち


愛してるって言うほどじゃない。
でも、好き。
手をつなぐ、見つめあう、キスをする。
そんな、些細なことで、心臓が飛び出そうなくらいどきどきしてるのなんて、知らないでしょ?
笑いながら、その向こうで、余裕を見せるために必死になってるなんて。
水面下で足をじたばたさせて、沈まないようにしてるのに、見えてるところでは、平然としてる。
これでも、努力してるのに、それなのに。
「オマエは笑ってない方がいいのだよ」って、かんたんに言うから。
どんなカオをしていいのか、わからなくなってしまう。
笑うことで平静を装っているのに、笑わないほうがいいなんて。
「ほら、そのカオがいい」って、いつも真一文字に閉じてる口元をふっと緩めるから、「そっちこそ、そーゆーカオが好きっスよ」って言い返す。
「ならば、お互い様なのだよ」って言う。
どんな言葉を投げても、きっと敵わないから、掴んだ手を引き寄せてキスをする。
たったこれだけのことで、ドキドキしてるって、伝わらないでほしい。
オレにリードさせて、余裕ぶらせて。
そうでないと何も言えなくなるくらい、全身が熱くなるから。
「緑間っちのこと、好きっスよ」
そう言って、笑う。
やっぱり、笑うことしか出来ない。
「知っているのだよ」
少しだけ嬉しそうに笑んだ人から、頬にキスをされた。


***


緑色の気持ち


会いたい、一緒にいたい、触れたい。
そう思うことが、好きということならば、間違いなく、好きなのだろう。
手をつないで、見つめあって、キスをして。
たったそれだけのことで、通常よりもずっと鼓動が早くなることをオマエは知らない。
指先から伝わる温もりに安心をして、抱き合うことで幸せに思う。
ささやかだからこそ、大切なのだと、最近になって気がついた。
会いたいと言い続けた黄瀬の気持ちが、少しだけわかったような気がした。
一緒にいると、黄瀬はいつも笑ってばかりいる。
時々、その笑顔が不自然だから気に入らないと言えば「ほかにどんなカオをしたらいいのかわかんないんスよ」と困ったように笑うことをやめるから、「そのカオがいいのだよ」と言う。
「どのカオ?」って慌てるそのカオでもいいのだけれど、残念ながら今日のラッキーアイテムは鏡ではなかった。
自分の顔を両手で包んで首を傾げる様子がおかしくて笑うと「そっちこそ、そーゆーカオが好きっスよ」と言い返された。
どんなカオをしていたのか、自分ではわからないから、「お互い様なのだよ」と言うしかなかった。
「そうっスね」と、納得して頷いた黄瀬に掴まれて引き寄せられて、キスをされる。
こうやって触れるのは嫌いじゃない。
お返しに嬉しそうに笑う黄瀬の頬に唇を落とした。



終わり



 
     
 

2013/05/03
混合色ペーパーより