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静寂に幸せを包む |
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膝の上に軽い衝撃と重さを感じて、そこで、初めて自分がどれほど手にしていた本に集中していたのかということに気づく。 ソファに座った時は、隣りに誰もいなかった。 静かにしていたのか、何か話しかけられたのか。 それすら、記憶にない。 (久しぶりに、夢中になってしまったのだよ) まだ、物語は半分までしか進んでいない。 しおりを挟んで、ぱたりと閉じる。 膝の上の黄色の塊をそっと指先で撫でた。 前髪をよければ、言葉よりも雄弁な瞳が閉じられ、小さな寝息が聞こえる。 額から鼻筋にかけてのラインは、初めて見た頃とほとんど変わっていない。 ほんの数年前の話だけれど、成長期であるがゆえに、身長も顔立ちも驚く程変貌していた。 誰もが背が伸び、顔が大人びていくけれど、他人に見られることに慣れた人間の容姿の美しさは、比にならない。 (子供みたいなのだよ) ふ、と、口元が自然と緩む。 綺麗だとか容姿端麗だとか、たまに目を逸らしたくなることもあるけれど、こうして、無防備に眠る姿を見れば、可愛らしいと素直に思えた。 好きだと言う。 愛してると言う。 訴えられて、求められて、けれど、同等に応じられないのは、もう、性格上やむを得ないと、理解してもらいたいと望むことはある。 (お互い様か…) さらさらと、金糸のような髪を撫でながら、その寝顔を見つめた。 どこがとか、一部分ではなく、黄瀬そのものを愛しいと覚えてしまった。 嫌なところがあるのは当然で、噛み合わない部分ばかりだというのに。 許す許さないではなく、ただ、黄瀬だからと、それだけが、在る。 もし、いつか。 その日が来ることはないだろうと、思うけれど。 手放せないのは、自分の方に違いない。 緑間は、閉じた本を再び開いた。 終わり |
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2013/11/21 |
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