無題(成人設定)

 
     
 


「緑間っちがぁ、あのときー、ほら、あのとき、オレのことを無視したからぁ」
ぐだぐだと、同じようなことを何度も繰り返す。
何かあったのだろうけれど、それを聞き出したところで、有効なアドバイスなど与えることもできないのだから、と無視をしていた。
黄瀬がアルコールを摂取して、ぐだぐだと絡んでくるのは、稀だ。
だからこそ、特に何もしない。
「ちょっと、聞いてるんスか?」
「聞いてないのだよ」
「もー。なんで聞いてくんないんスか?」
何故か、絡んできているはずの黄瀬が正面に正座して、睨むように見つめてくるので、そのまま目を合わせてしまった。
「聞いて欲しければ、日本語を話せ」
「日本語で話してるっスよ」
拗ねたように唇を尖らせて、ぶーぶーと冷たいだの、酷いだの、どんどん非難を始めるので、さすがに煩いと思うようになる。
「黄瀬」
眼鏡をはずして、少し目に力を入れれば、ほんの一瞬だけ、黄瀬が怯んだ。
その隙を突いて、唇を塞ぐ。
重ねて触れた薄い唇は、酷く冷たかったけれど、かまわず奥へと舌を進めようとした途端、突き飛ばされるように放された。
「黙る、黙るっス」
「……、続きをしてもかまわないのだよ」
せっかく眼鏡をはずしたのだ。
この先を望んだところで問題は何一つない。
「……、挑発してるんスか?」
揺れる瞳に少しだけ熱が上がるのをぼんやりとした視界で確認して、口の端を歪めた黄瀬を抱き寄せた。



終わり



 
     
 

2014-02-08 00:08:57