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とある日 |
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| ※こうげつ様のリクエスト | ||
おは朝の星座占いは本当によく当たる。 今日の蟹座の運勢は10位。 ラッキーアイテムは瑪瑙のコースターという。 どこに売っているのかと、探しているうちに時刻は正午近くにまでなっていた。 緑間は、ひとけのない公園の日陰で缶のおしるこを振って開けたら、暑さで膨張していたのか、中身が勢いよく噴き出した。 小豆の粒と汁粉を頭の上からかぶり、緑間はその場で呆然とする。 ぽたぽたと前髪から滴が落ちて、地面を濡らした。 セミの鳴き声がひときわ大きく聞こえる。 溜息をひとつ吐いて、緑間は水飲み場まで移動した。 (良く当たる占いなのだよ・・・) ラッキーアイテムを所持していなかったばっかりに、普段なら有り得ない災難に合う。 炭酸飲料でもないしるこが噴き出すとは、夢にも思わない。 眼鏡をはずし水洗いすると顔と頭も順番に洗った。 小豆色の染みが残ってはまずいと、シャツを脱ぎ飛び散った汁粉の跡を丁寧に揉み洗いする。 気温は30度を超え、夏の日差しはじりじりと強くなっていく。 (夏で良かったと言うべきか) タオルは持ち歩いていたが、あいにく着替えの用意はしていない。 顔と頭をタオルで拭いてから、絞ったシャツを広げた。 袖を通すとひんやりと布が張り付き、多少の不快感はあるものの、この暑さではすぐに乾くだろう。 ボタンをひとつずつとめていくと濡れたシャツはぴったりと肌に吸いついた。 肌が薄く透け、その形を露わにする。 鎖骨、それから胸、布越しであるからか、それは非常に淫猥で魅惑的だった。 濡れたシャツの冷たさが体温と気温で生ぬるく変化し始めると途端に不快感が増していく。 肌に触れる布地を指先で持ち上げパタパタと内部へ風を送った。 じわじわとまとわりつくような暑さは、額から首筋から汗を零す。 空き缶をゴミ箱に投げ捨て、ベンチに戻ると携帯電話が鳴った。 『真ちゃんどこにいんの?練習始まっちゃうよ?』 声を発する前に耳をつんざく音が響く。 無駄に大きな声を電話口で放つのはどうかと思う。 「バカを言うな。あと30分は余裕があるのだよ」 『だって、真ちゃん、いっつも1時間前には来てるじゃん』 「いつもではないのだよ」 『もしかしてラッキーアイテムみつかんねぇの?』 「・・・練習には遅刻しない」 『オレひとりで待ってるのつまんねぇから早く来てよ』 「オマエの都合に合わせてやる義理はないのだよ、高尾」 『えー。真ちゃんのケチ・・・』 強制的に通話を切って、緑間は携帯電話をポケットに入れた。 まだシャツは濡れていたが、遅刻するわけにはいかないと、公園を出た。 「真ちゃん・・・」 半乾きのシャツと髪で部室に現れた緑間に高尾が床に崩れ落ちる。 「ねぇ、真ちゃん、その格好でどこから来たんだよ」 「徒歩15分程の公園からだが?どうした?」 「どうしたじゃねえよ。15分もその姿で外を歩いてたのかよ」 傍らにしゃがんだ緑間の両肩を高尾がぽんぽんと叩いた。 「真ちゃん、今度からオレが迎えに行くから一人で出歩くなよ・・・」 「・・・?なんなのだよ」 高尾の言う事が理解できないまま緑間が首を傾げる。 「とりあえず、早く練習着に着替えろよ」 部室に残っていたのが自分だけでよかったと、高尾は誰ともなく感謝した。 終わり |
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2012/07/23 |
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ついったーでそっと募集したリクエスト。 |
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