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| 緑間誕生日カウントダウン☆2013 | ||
誕生日(黄瀬) |
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| 高校2年生の設定で、お付き合い済です。 緑間くんの誕生日を祝う黄瀬くんの話。 |
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一緒にいたいと、会いたいと、思ってくれる? 静かな夜だった。 メールもなく、電話もなく、珍しいと思った。 午前0時まであと5分。 もう寝ているだろうと思っているけれど、0分0秒の瞬間が待ち遠しい。 この日に生まれてくれたから、出会えた。 感謝を、祝福を。 「……好きっスよ」 誰にでもなく、ただ一人に向けて呟く。 携帯電話を握り締めて、ベッドに寝転がった。 朝、起きて携帯電話を確認する。 午前0時からメールが数通。 並ぶ名前を見て、ほんの少しだけ口元が緩む。 『Happy Birthday 緑間っち!17歳の緑間っちも大好きっス』 今日も明日も明後日も。 これから先もずっと。 好きだと伝えてくれる人に感謝をする一日の始まり。 朝練が終わって、着替える前に携帯を確認した。 新着は1通。 ほんの少しだけ緊張してしまうのは、どうしてだろう。 『ありがとう。これからもよろしくなのだよ』 どうしようどうしよう。 (今日、一日、顔がゆるむ…) 嬉しさが隠せないまま、へらっと笑ったところを若松に見つかって、なににやけてんだ?と言われてしまう。 オレって幸せ者なんスよと答えれば、さっさと着替えてしまえ、と後頭部をバシッと叩かれた。 特別な日でなくても会いたい。 できれば、毎日会いたい。 それが、かなわないから、メールをするし、電話もする。 表情が見えないから、寂しい。 笑ってる?怒ってる?困ってる?呆れてる? 声だけでもわかるけど、顔が見たい。 だから、会いたい。 天気の良い日だった。 青空に雲ひとつなく、夏の暑さだけが降り注いでいた。 もしかしたら、今日は彦星と織姫が出会えるかもしれない。 そんなお伽噺を思い出す。 授業は滞りなく、いつもと同じ。 誕生日であることを聞きつけたクラスメイトにおめでとうと言われるのは、なんだか照れくさい。 ありがとうと応えれば、なぜか机の上におしるこ缶が増える。 いつもと変わらない一日と異なる現象を面映ゆく思いながら、ありがたく頂戴をしておく。 まだ明るさの残る空に煌めく星が一つ。 電話を掛けながら帰り道をあるけば、昼間より温度の下がった風が頬を掠めた。 「緑間っち、誕生日おめでとう」 これから待ち合わせているけれど、我慢できなかったと伝えれば、バカと一言で済まされる。 この一年で近付いた距離は、元に戻せない。 どんなに時間が遅くなっても会いたいと言えば、会える。 毎日ではないけれど、それが嬉しい。 「おしるこをたくさんもらったって、なんで?誕生日だからっスか?」 同じ場所に向かって歩いていることがどれだけ幸せなことか、知ってる? (緑間っちが、生まれて、バスケをして、帝光中に入って、だから、オレ達は出会えたんスよ) 通話を切って、足早に待ち合わせ場所に向かう。 駅の近くの公園は、人目を気にせずに済むから、そこがいいと決めた。 待ち合わせは、外灯の下のベンチの前。 先に到着していた緑間の姿を見つけて、黄瀬は飛び付くように抱き締めた。 黄瀬を抱きとめたひょうしに緑間の手から紙袋が落ちる。 「ハッピーバースデー、緑間っち」 「オマエはいくつになっても落ち着きがないのだよ」 そんな黄瀬を抱き締め返す緑間が、困ったように笑う。 「生まれてきてくれてありがとうって言いたかったんスよ。ずっと」 唇を重ねて、触れ合って、二人の距離を0にして。 「ありがとう」 耳元で囁くような優しい声。 「そういえば、なんか落としたっスか?」 「缶だから問題ないのだよ」 「もらったおしるこ?」 「ああ。一ケース分ほどある」 「緑間っち、もてもてっスね」 「ありがたいが、気持ちを断るのは正直煩わしい時もあるのだよ」 「誕生日は告白日和っスもんね」 「恋人がいるのだから告白されても困ると何度も繰り返して…」 それは、正に不意を突かれた瞬間だった。 黄瀬は一気に顔が熱く火照るのを感じていた。 もう、隠しようもない。 「黄瀬?」 「緑間っちのバカ」 事も無げに言う緑間の顔がまともに見られない。 「なにがなのだよ」 付き合い始めて一年以上経つけれど、改めて言われると、どんな告白よりも心臓が痛い。 (恋人……) 緑間から額にキスをされて、思わず顔を上げた。 「どんなにたくさんの人から祝福されてもオマエからのおめでとうに敵うものはないのだから、安心しろ」 どうやら、違う方向で誤解したらしい緑間のそれは、容赦なく黄瀬の心臓を握り潰す勢いだった。 「緑間っち」 「なんだ」 「死ぬ」 「は?」 「幸せすぎて、死ぬ」 「死んだらその幸せも失うのだよ。バカめ」 ちゅっと頬に唇を落としたあとで、触れるだけの優しいキスをする緑間を黄瀬は抱き締めることしかできなかった。 「緑間っちのことはオレが一番愛してるっスよ」 ささやかな抵抗は、ちゃんと緑間に伝わっただろうか。 緑間からの返事は無く、先刻より強く抱き締め返されただけだった。 Happy Birthday☆ |
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2013/07/07 |
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