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「オレはあなたが好きです。だから、本気でないのなら、これ以上はやめてください」 伏せた目の、長い睫毛ばかりを見ていた。 色白い首筋に歯を立てたら赤く痕が残るのかと思い、噛みつきたくなる衝動をぎりぎりで抑える。 「俺が、好き?」 緑間の言った言葉がようやく脳に届いた。 低めの穏やかな声が耳に残る。 幻聴でなければ、それは間違いなく、真剣な告白である。 「はい」 クソが付く程の真面目でムカつく程の生意気な後輩は、静かに頷いた。 二人きりで残った部室で、今、宮地はその後輩の両手首を掴みロッカーへと押しつけている。 そのまま首の角度を変えれば、いつでもキスができる距離で、数分。 見つめ合ったまま何もしないでいたら、緑間が先に言った。 「いつから?」 照れ隠し半分、興味半分。 お互いの性別が男であることは、いやでも理解している。 それでも、好きになる感情はどこから生まれるのか。 外見? 性格? それならば、友情でかまわないのではないか。 どうして、それが、恋情へと変わるのか。 自らの感情を含めて、疑問に思う。 「覚えていません。気付いたらあなたを目で追うようになっていました。それだけです」 二つ年下の男は、そう答え、俯いた。 練習中に目が合った覚えはない。 (こいつは、ずっと、俺の事を見ていた・・・?) たったそれだけだったが、ひどく特別な事のように思えたのは、目の前の男が緑間真太郎だったからなのだろう。 キセキの世代と呼ばれる天才シューター。 コート内のありとあらゆる場所から、シュートを決める。 その確率はほぼ100%。 秀徳高校バスケ部のエースとして迎え入れられ、監督の意向によって、緑間中心のチーム作りを余儀なくされた。 不平不満も部内に溢れたが、程なくしてその実力を遺憾なく発揮し、数ある部員全員を納得させた。 その名実ともに不動のエースとなった緑間が、自分の何を、何処を見ていたのか。 宮地は背筋がひやりとした。 それが、優越感であるのは、頭の片隅で理解していたが、そのまま快感にも変化したので、気付かないふりをした。 今、至近距離で抑えつけられている緑間は抵抗せずおとなしくしている。 あと数センチ近付けば直接触れる事さえできる。 「本気なら、いいのか?」 試すように、囁く言葉の半分は嘘だ。 信用していないのは、自分の気持ちだった。 はじかれたように顔を上げた緑間のメガネの奥の両目は、まん丸く見開かれていた。 ただ、驚いただけのその反応に、宮地は口の端を歪めて笑う。 宮地の嘘に気付いていても尚、淡い期待がその目に宿っている。 緑間は嘘を吐かない。 何事にもただ真摯に向き合い、信じた事を押し通すだけだ。 だから、生意気だと、ムカつくと、緑間を知らない人間は不平不満を溜めるのだ。 「わかりません」 イエスでもノーでもない。 それが一番正しい答えだった。 数センチの距離が近付けば、後戻りはできないと、わかっていた。 「じゃあ、悩め」 宮地は緑間の震える唇を塞いだ。 終わり |
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2012/10/16 |
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初書き宮緑。 |
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