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| 緑間誕生日カウントダウン☆ | ||
あと1日(青峰) |
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「なぁ、まだかえんねぇの?」 延々とシュートを繰り返す背中に声をかける。 「なぜ、ここにいる」 額から汗を流したまま振り返った緑間は驚いた表情のまま固まっていた。 珍しいものが見れたと、青峰は笑う。 ここ、とは、秀徳高校の体育館だ。 裏門の塀を乗り越えて、中に入った。 ジャージ姿でそのまま敷地内を歩いたが、誰にも見咎められることは無かった。 警備が厳しくないのか、運が良かったのか、それはわからない。 「暇つぶし」 「バカめ」 「一言かよ。もーいーだろ、飽きたんだよ。帰ろうぜ」 体育館らしき建物に近付いたら、緑間が一人延々とシュート練習をしているのを見つけた。 見慣れていたはずの光景を久しぶりに目にして、青峰はしばらくその姿を眺めていたのだ。 「オマエが見つかっても面倒なのだよ。仕方がない」 「校門の外で待ってるからな」 緑間の溜息を肯定の意に捉えて、青峰はその場から離れた。 真剣な眼差し。 一点を見詰めて、真っ直ぐに伸びる腕。 途切れない集中力。 緑間の真面目さはそのシュートとプレースタイルに反映されている。 (どこに行っても変わんねぇんだな) 中学でも高校でも緑間の目指すバスケは同じだ。 変わっていくものばかりが目に付いて、変わらないものなどないのだと見せ付けられている気分に嫌気が差して、変わらないものを探しに来たのだ。 手堅いディフェンスと落ちないロングシュートを武器にずっと戦っている。 そして、その為の努力を怠らない。 (早く戦ってくんねぇかな・・・) 負けるつもりは無い。 けれど、敗北に近い勝利を望んでいる。 誰も自分を超えてはくれない事をずっと嘆いていた。 (俺に勝てるのは俺だけ・・・) だから、負けない。 たとえ相手が緑間であっても勝つのは自分だ。 青峰は校門の外でしゃがみ込んで、緑間がやって来るのを待った。 見上げた空はもう真っ暗で、細い三日月が建物の影に隠れようとしている。 「おせぇよ」 緑間が声をかけてくる前に気配で気付く。 立ち上がるとすぐそばに緑間がいた。 襟の開いた半そでの白シャツに黒いズボン。 夏でもネクタイをしていた中学時代に比べれば、ラフな格好に見えた。 「なんなのだよ」 上から下まで確認するように視線を動かしていたら、緑間が訝しげな表情をする。 「なんか飯食って帰ろうぜ。腹減った」 誤魔化すように先に歩き出すと緑間も後ろから追ってきた。 話す事なんて何も無いくせに、沈黙が気まずいわけでもない。 「あ、これやる」 立ち止まって振り返ると、かばんの中から缶ジュースを2本取り出した。 緑間が季節関係なしに飲んでいるおしるこだ。 通り道の自動販売機で見かけて、買ってみたのだ。 「どうしたのだよ」 「差し入れしよーと思って買ったら、あたりが出たからもう1本同じのにした」 「青峰、熱でもあるのか?」 「はぁっ?」 驚いた顔をする緑間につられて、青峰も驚く。 「オマエが差し入れなどと思いつくとはな・・・」 青峰の手元を眺めていた緑間が、ふ、と可笑しそうに口元を緩めた。 2本の缶を緑間に押し付けて、その手首を掴む。 「変わってねぇと思ったけど、やっぱ変わってんだな」 こんな風に笑うヤツだっただろうか。 中学時代には気付かなかっただけか、それとも忘れていたのか。 「なにが・・・なのだよ?」 「変わらないものなんてねえんだよな・・・」 間近で見る緑間の目に自分が映る。 薄暗い外灯の下にいる二人はどんな風に見えているのだろう。 どんな風に見えていようと、周りの知らない人間などいないも同然で、気にする必要はないのだけれど、緑間の意識が分散されては困る。 「変わったのは、オマエなのだよ、青峰」 静かに答えた緑間の声は穏やかだった。 眼鏡を指先で持ち上げるクセは中学の頃と同じだ。 「オレは変わってはいない。毎日シュートの練習を繰り返し、ただひたすらに人事を尽くしているだけなのだよ。けれど、その間にもオマエは強くなっていく。練習を休んでもバスケを続ける限りその強さは無限大なのだよ」 見詰め合う時間が、長く感じる。 「それじゃ、変わんねえじゃねえか。いままでと、なにも・・・」 負けたいわけじゃない。 戦いたいのだ。 無意識のうちに、緑間の手首を掴む手に力が入る。 「案ずるな。すぐにそれは叶う」 テーピングをした指先が、そっと青峰の頭を撫でた。 「・・・ありえねえよ。俺に勝てるのは俺だけなんだから・・・」 自嘲を込めて嗤う。 緑間の双眸が少し揺れたように見えた。 「そのうちわかるのだよ」 あまりにもはっきりと断言をされて、思わず信じてしまいそうになる。 「マジかよ」 乾いたように笑って、笑いながら緑間を抱き締めた。 緑間は拒む事も逃げる事もしなかった。 体温は、心を弱くする作用でもあるのだろうか。 (甘えたいわけじゃねえし) 変わらないものも変わっていくものも今として受け止める。 そんな強さは、緑間にしかない。 だから、青峰は無意識に隠していた弱さをほんの少しだけ零してしまう。 その零した弱い音に気付いて、受け止めてしまうのは緑間だからだ。 『ミドリンはお人好しで優しいから』 そう言ったのは桃井だった。 そんな事はない。 優しいかもしれないけれど、同じくらい厳しい。 そして、強い。 (バカじゃねえの) 変わる事を望んで、変わらない事を探している。 叶うと言った緑間の言葉を信じたかった。 終わり |
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2012/07/06 |
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緑間っちの誕生日に全力を尽くす! |
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