緑間誕生日カウントダウン☆2013  
 

あと5日(赤司)

 
  高校2年生の設定で、お付き合い済です。
緑間くんの誕生日を祝う赤司くんの話。
 



ハッピーバスディトゥーユー。
生まれてきたことに感謝をする日。


午前零時を告げるアラームが鳴った。
寝ているだろうけれど、電話を掛ける。
コール音は3回で途切れた。
相手の声を聞く前に、先に口を開く。

「誕生日おめでとう」

日付の変わる瞬間。
一緒にいることが叶わないのなら、声だけでも共有したかった。

『……ありがとう』

照れているのか、数秒の間をおいて、電話の向こうから優しい声。
目を閉じれば、記憶の中の面影が浮かんで消えていく。

「起きてたのか?」

そう問えば、しばしの沈黙。

『読み始めた本が、おもしろかったのだよ』

ほんの少しだけ、気まずそうな声音。

「そのおかげで、僕は真太郎の声が聞けたというわけか。ラッキーだったな」

東京と京都は約450km。
すぐに会えない距離は、時々もどかしい。
こんな時くらい、抱きしめてキスをして、泣かせたいのに。

『赤司』

耳元で呼ぶ声。
そんなに愛おしそうに、切なそうに呼ばれても何もできない。
できないことの少ない日常に、この感覚が新鮮だといえば、お前は眉根を寄せて嫌な顔をして見せるだろう。
僕は知らなかったんだ。
できないことが、こんなにも胸を締め付ける感情を生むということを。

「好きだよ、真太郎。お前が生まれたこの日に感謝してもしきれない」

言葉を尽くしたとしてもそれだけでは足りないと理解している。
翠緑色の瞳を脳裏に思い浮かべて、その真っ直ぐな視線を受け止めた。

『赤司』

求められているとわかる音にどうしようもなく引き摺られてしまうのをお前はきっと一生知らないままだろう。

「真太郎、愛してる」

囁く声に甘さを含ませる。
もう、寝た方がいい。
それなのに、目が覚めてしまった。

『……オレも。オレもなのだよ』

どんな表情で、それを言う?
そうして、愛しさばかりを募らせて、お前は本当に酷い男だなと言えばどうするかな。

「また、会いに行く」
『無理はするな』
「わかっているよ。でも我慢できないんだ。真太郎に触れたい」

ずっと愛しい人の声を聞いていたいのに、時間がそれを許さない。
仕方がない。
何度となく繰り返した言葉が本当は嫌いだった。
諦めることは許されない。

『赤司』
「それは、甘えているのか?珍しい声が聞けた」

からかうように笑えば、再び沈黙が続く。
緑間が名前を呼ぶことに、何の意味を含めているのか、さすがにそこまではわからなかった。
ただ、呼ぶ声が、いつもよりずっと近い。

『電話、嬉しかったのだよ。……おやすみ』
「一番に言いたかったんだ。誕生日おめでとう。おやすみ」

通話を切って、静寂の戻った部屋で、緑間の声を反芻する。
心地好い響きは、なにものにも代え難い。
いまは、ただ。
自分を満たす愛しさを抱き締めて、目を閉じた。



誕生した日に感謝を☆



 
     
 

2013/07/02

 
     
 

 

 
 
     
 

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