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「宮地はメンクイだからな・・・」 そう言って笑われたことがある。 きれいな顔やかわいい顔なんて誰だって好きだろう。 ましてやアイドルはそれが一番大事な部分なのだから、それを指摘して笑うのはちょっと違うんじゃないかと、思うけれどいちいち反発する理由もないので、そうでもないと曖昧な返事をする。 (メンクイでどこが悪い) 意識するきっかけが顔だったとしても中身はその後で知ればいい。 そうして、顔も中身も好きになれば、問題はなくなる。 キスをするのに抵抗がなかったのは、その顔がきれいだったからだ。 自分とは明らかに種類の異なる端正な横顔。 それを打ち消すくらいの生意気さと傲慢さに腹が立ち、ただからかうつもりだったというのに、相手が本気だったのだから、最悪だ。 真っ直ぐに見返された視線の強さは、いまでも覚えている。 まだそんなに遠い昔の話ではないのだから、当然なのだろう。 見惚れるくらいの絶望を与える美しいシュート。 それと同じくらい美しい目が訴える。 「オレはあなたが好きです」 お前はそれがどれだけ罪深いか、知らない。 あの射抜くような美しい両目に見つめられて、まともでいられる人間はいるのだろうか。 同性であるハードルを簡単に飛び越えてきた。 俺が仕掛けなければ、一生黙っているつもりだったのだろう。 淡々と、内に情熱だけを秘めて、視線をはずして。 今でもそうだ。 緑間は、ただ、「好きです」と言う。 それ以上を求めず、近付かず、かといって離れもしない。 その距離感に慣れてしまっている自分がいることにも気付いていた。 優越感もあり、背徳感もあり、罪悪感もある。 好きか、嫌いか、と問われれば、好きだと応えるだろう。 生意気で傲慢で真面目で嘘のない、この男が嫌いじゃないのだ。 ただ、相手がそれを望まないのであれば、まだ、伝えるべきではないと思うのは、最優先事項がチームの勝利だからだ。 お互いに。 そう言い訳をして、自分の気持ちに蓋をして、心の奥にしまうくらいに自分が強くないことを知っている。 「宮地先輩」 緑間の手がそっと伸びて髪に触れた。 あまりにも突然で、一瞬だけ震えてしまったのは失敗だった。 「花びらが…」 ついていましたと、手のひらに白い欠片をのせた。 周囲よりも頭一つ分背が高いせいで、こんな風に頭に何かついていることを指摘されるのは少ない。 改めて、こいつは俺より背が高いのだと関係ないことを思う。 「オレは宮地先輩とは違うので、取って食ったりしませんよ」 意識してしまったことに気付いていたのか、少しだけ口の端を緩める。 「俺と違うってなんなんだよ」 「手が早い」 「お前が誘ったからだろ」 「誘ってません」 「あんな熱い視線で見つめられたら、ふつーキスしたくなんだろ」 「宮地先輩だけですよ」 「じゃあ、俺だけにしてろ」 「そーゆー意味じゃなく・・・」 「じゃあ、どーゆー意味だよ」 にやにやと笑ってみせれば、珍しく頬を赤らめて視線をはずした。 緑間の動揺した様子に満足をしていると、集合の合図の笛の音が響いた。 終わり |
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2013/04/15 |
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※付き合ってない宮緑。 |
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