consciousness 3

 
     
 


メアドをゲットした。

さて。と、高尾は自室のベッドに寝転がりながら携帯を握ったままどうにもできずにいた。

(なにを送れ・・・と?)

話すことなど、ひとつも思いつかない。
メールを送るような、話題ひとつ見つからない。
ハンバーガーショップで向かい合わせに座って、話したことは、本当にたいしたことではなかった。
共通することなんて、バスケと緑間だけで、他は何もない。

(どーしよっかなー)

相手が女の子なら、こんなに悩む必要はなかっただろう。
髪形でも言葉でも、褒めればいい。

(友達って、なに・・・?)

明日も会いに行けるような距離でもないし、行ったら行ったできっと迷惑をかけてしまう。
零れ落ちそうな空色の瞳は、ゆらゆらと揺れながら、それでも真っ直ぐ見つめてくれた。
ぐるぐるとあーでもない、こーでもないと迷ってるうちに、本当に頭の中が真っ白になる。
高尾は、ほぼ無意識に電話をかけていた。
コール音は2回。
思っていたよりすぐに出た。

「真ちゃんっ!」
『電話口で叫ぶな。やかましい』

必死な高尾と対照的に淡々とした声が受話器の向こうから返ってくる。

「俺、どうしたらいいかわかんねぇ」

ベッドの上で正座をして、携帯電話を握り締めていた。
藁にも縋る思いというのは、この事だ。
相談してもどうにもならない事だというのは、わかっている。
けれど、止めることができなかった。

『・・・メアドは聞けたのか』

溜息の向こうで、諦めの音がする。

「聞いた!電話番号も!」
『・・・・・・。メールを迷っているのか』
「そのとーり!さっすが、真ちゃん!」

一を聞いて十を理解する人の思考回路はわからないけれど、今は、とてもありがたい。

『しらないのだよ。好きにすればいいだろう』
「そっ、そんなこといわずに!なんか、ねえの?もう、マジでネタ切れだし」
『バカか。オレに聞くな』
「真ちゃあああん」

どうする事もできなくて、半分本気で半分ふざけて、縋りつく。

(なんで、こんな必死になってんのか、もう、わけわかんねぇし・・・)

高尾は沈黙する電話の向こうの返事を静かに待った。

『明日、ある小説の新刊が発売されるのだよ。本屋なら、オマエも用事が作れるだろう』

ある小説とは、きっと黒子が読んでいる小説ということだ。
本屋に行く理由があるのなら、誘ったとしても断られる確率は低い。
目の前がぱぁああっと明るく開けたような気がした。

「真ちゃん、天才」
『ふざけるな』
「ちょ、うそうそうそ。うれしいっ」

うその途中で電話は切れた。
怒ったのか照れ隠しなのか電話の声だけでは判断つけにくい。

(・・・でも、まじ、サンキュー)

高尾はしびれた足を揉み解しつつ、ベッドの上に再び寝転がった。



『TO:黒子
TITLE:無題
本文:
今日はサンキューな。
国語得意って言ってただろ?
今度、参考書買うの付き合ってくんねぇ?』


送信。



終わり



 
     
 

2012/09/03

 
     
 

高尾→黒子。
高尾視点。

 
     
 

2 ← → 4